Ballpark figureと『どんぶり勘定』
Ballpark figure(【米話】概算、おおよその数字)という言葉は、日本語で言えば、『どんぶり勘定』にあたるんだろうな、と長い間、思っていた。
最初にこの言葉を聞いた時、前後の文脈から、ざっくりとした数字を意味していることは、何となくわかった。それで、「そうか。野球場が『どんぶり勘定』のどんぶりに当たるんだな」と安易に解釈し、勝手に納得していたのだった。
その数年後、何かの本を読んでいたら(何の本だったか思い出せなくて気持ち悪いので、現在調査中)、Ballpark figureの言葉の由来として、野球の実況中継のアナウンサーが、その日の球場の席の埋まり具合を見て、入場者数を概算で告げたのがはじまりだと説明していた。おそらくラジオの時代に、球場の様子が目に浮かぶように伝えていたということなのだと思う。ぱっと見た目での賑わい、個体の『密度』からの数量概算、ということか。
また、別の説として、wiktionalyには、こんな記述が。
Perhaps from the fact that, although baseballs are seldom hit out of the ballpark, they may still land anywhere within a large area.
これは、球場を物理的に大きな『範囲』と捉えて、その範疇に収まっているか、ということなのだろう。
他にも、正しい座席かどうかはわからないけど、とりあえず野球場の中にいることはいる、というのが語源とする説もあり。こちらは『カテゴリー』の絞り込み(より粗い条件では該当するけれど、厳密ではない)が焦点となっているようだ。
こうして見てみると、同じ言葉を使う時、人によって頭の中でイメージしているものは全然違うこともあるんだな、と気づかされる。すごく面白いような、怖いような。
ところで、そもそも何故、今こんな検証をしているのかと言うと、英語とは関係のない調べものをしていたところ、日本語の『どんぶり勘定』が、長年、自分が認識していたのとは異なることが発覚したからだ。
私の中では、『どんぶり』=『どんぶり鉢』で、普通のご飯茶碗より大きくて大雑把な、というイメージだった。が、どうやら『どんぶり違い』だったらしい。
細かく計算などをしないで、おおまかに金の出し入れをすること。昔、職人などが、腹掛けのどんぶりから無造作に金を出し入れして使ったことからいう。
しかも、お金の出し入れに限った表現のようなので、数字全般の概算に当てはめるのは、どのみち間違っていたわけだ。なお、この『どんぶり』とは、
サラサや緞子 (どんす) などで作った懐中用の大きな袋。江戸時代、若い遊び人が好んで用いた。
とのこと。<goo辞書より>
たぶん、私の頭の中には、この手の勘違いが大量に蓄積されているような気がする。おそらく、東京ドーム10個分くらい。。
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