忖度は英語で?
先週の日経新聞の春秋(2017年3月25日付)。
森友学園をめぐる関係者らの一連のやりとりについて、『重層的な忖度メカニズム』が働いた、という考察に、すごく納得した。
話題のSontaku
そして、今日見た記事によれば、安倍首相自身が、参院予算委で「忖度が働き本質の問題に関わったかというと、全くそういうことではない」と答弁したとのことで、忖度という日本語が、にわかに脚光を浴びている模様。
Financial TimesのSontakuと日本のスキャンダルについての記事。
↓こちらは日経新聞に掲載された、日本語版。
↓元記事はこちらから。
What's "Sontaku"?
この記事で、忖度が英語でどんなふうに説明されているかというと、
まず、サブタイトルでは、"Sontaku, the surmising of wishes" と表現されている。
- surmise [sərmáiz]【自他動】(状況・人の意図を)推量する、臆測する
記事本文の最初の説明では、
Sontaku refers to the pre-emptive, placatory following of an order that has not been given. (忖度は、与えられていない命令を先取りし、穏便に従うことを指す)
※和訳は、日本語版の対応箇所より
- pre-emptive【形】先手を取る、先制攻撃の
- placatory【形】なだめる(動詞はplacate)
つづいて、複数のエピソードの中で、次のようなバリエーションで言い表されていた。
・synonym for “self-censoring”(自己検閲の同義語)
・overzealous, pre-emptive intention-reading(過剰な斟酌)
・“will of superiors” and the contortions undertaken to satisfy it
(「上司の意向」と、その意をくむために実施された策略)※和訳は、日本語版の対応箇所より
- overzealous【形】(態度・行動などが)あまりにも(過度に)熱心な、熱心過ぎる
- contortion [kəntɔ́ːrʃən]【名】ねじれ、ゆがみ、曲解
英語で読む、痛い指摘
以下の箇所、日本人として、読んでいて痛かった。
In many ways sontaku is a classic cop-out — an excuse for wrongdoing that joins “groupthink” and “reflexive obedience” on the list of Japanese self-criticisms that neatly dilute individual responsibility in the well of cultural explanation.
(多くの意味で、忖度は典型的な責任逃れだ――日本人が自己批判する際のリスト項目で、「集団思考」や「反射的服従」と並び、不正行為の言い訳だ。文化に根ざす説明がわき出る泉で個人の責任を薄めている)
※和訳は、日本語版の対応箇所より
- cop-out【俗】(何もしないことの)言い訳
- reflexive【形】反射的な(参考:reflexive pronounで再帰代名詞)
- obedience [oubíːdiəns]【名】服従、忠実、従順
- dilute [dailúːt]【他動】(液体を)薄める、薄くする、希釈する、希薄(化)する
『文化に根差す説明がわき出る泉』って。。
安倍首相が "There is no room for sontaku to take place"(忖度が働く余地はない)と言っても、泉のようにわいて出てくるのが、『重層的な忖度メカニズム』ということなんだろう。
日本の組織に属したことのある人なら、そういう光景、少なからず、目に浮かぶんじゃないだろうか。
甚く考えさせられる記事であった。
日頃、あまりなじみのない英単語がたくさん出てきて、勉強になった。
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