Obama's Hiroshima Speech
NHKラジオの『高校生からはじめる現代英語』、先週・今週は夏の特別企画として、オバマ前大統領の広島演説が取り上げられている。
「格調高い表現」ゆえ
演説の原稿は、格調高い表現を多く含む英文でありながら、日本の聴衆を意識して書かれたこともあり、文法や語彙の点では比較的わかりやすいものになっています。
また、ゆっくりと語られているため聞き取りやすく、英語学習の素材としても適しています。
とはいえ、『格調高い表現』であるがゆえに、ニュアンスや文章の構造を理解するのが難しい箇所もあり。
たとえば、この一文。
How the very spark that marks us as a species--our thoughts, our imagination , our language, our tool-making, our ability to set ourselves apart from nature and bend it to our will--those very things also give us the capacity for unmatched destruction.
番組およびテキストでは、内容を補足した下記の日本語訳とともに、くわしい解説があって、理解の助けになった。
いかに、私たちを(人類という)種として際立たせている火花こそがーー(火花とはつまり)私たちの思考、私たちの想像力、私たちの言葉、私たちが道具を作ること、私たちが自らを自然と区別してそれ(自然)を私たちの意志どおりに曲げてしまう(変えてしまう)能力(ですが)--まさにそれらのことが私たちに比類なき破壊の能力をも与えているのか(を想起させられるのです)。
番組テキスト
個人的所感
演説の内容について、個人的に感じこと。
言うまでもなく、これは一国の代表としてなされた演説であり、アメリカの立場と外交上の配慮が織り込まれたものだということはわかっている。
けれど、『われわれ人類全体にとっての悲劇』という、『より大きな物語』として語られてしまい、相対的に原爆の悲劇がその一部分として扱われているような、そしてそのことに文句を言わせない雰囲気を感じて、もやっとしてしまう。
。。と書きながら、自分の中に『被爆国の、一国民として』というような意識があることに気づいて、驚く。
自分自身が自分(たち)のことをどう認識しているかは、『外側からの言葉』を逆投影するかたちでしか、意識することができないのかもしれない。
『英語』を超えて、様々なことを考えるよい機会だった。
なお、番組放送は、来週はお盆Weekにつき、今週分の再放送になるので、じっくりと演説の内容を読み込んで、関連情報にも目を向けようと思う。
関連書籍メモ
番組で扱われたのは、演説のハイライト部分の抜粋(主要部分を抜粋し、1,451語からなる原文を約半分に縮めたもの)なので、全文を音声とともに確認するなら、こちらがよさそう。
広島演説+他のオバマスピーチ、歴代大統領(ケネディ、アイゼンハワー、トルーマン)の演説が、音声付きで収録されている。
こちらは、アメリカの歴史観を知る、とっかかりとして。
オバマ前大統領は「憲法学者だから理想主義だ」とよくいわれる。
憲法9条が取り沙汰される今、日本の憲法をよく見てみたい。
憲法の英訳、ポツダム宣言の英語原文+口語訳も掲載されている。
(今さらながら、ポツダム宣言の内容ってこんなだったんだ、とショックを受けた)
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