フランス語のシッフル(数字)なんてこわくない!
フランス語の数字って、ややこしい。
NHKラジオの『まいにちフランス語・初級編』に出てくるレベル(年号、都市の人口・面積など)でさえ、私にとっては難解で悩ましい。
シッフル(数字)の謎
たとえば、
70は<soixante-dix>で、60+10として表され、
80は<quatre-vingts>で、4×20として表される。
なんでわざわざ倍数を使い分けるのか。
91<quatre-vingt-onze>になると、
- quatre [katʀ]:4
- vingt [vɛ̃]:20
- onze [ɔ̃z]:11
で、『4×20+11』として表される。
これって絶対、『読み上げ算』には向かないと思う。いや、そんな心配はいらないのか。
とはいえ、桁が増えれば、さらに複雑さを増すわけで、計算するのに不便ではないのだろうか?
もし、私がフランスの子どもだったら、算数でつまずきそうな気がする。
数学が得意なゴーンさん
ところで今、日経新聞『私の履歴書』でカルロス・ゴーン氏の連載を、英語の勉強をかねて読んでいる。
※同時進行中の英語版(Nikkei Asian Review)はこちら:
https://asia.nikkei.com/Features/Carlos-Ghosn
この中で、ゴーンさんがビジネススクールに進もうとするも、「文系では才能が埋もれる。数学が得意なのだから」と準備校の校長に言われて、理系の最高峰、エコール・ポリテクニークを目指すことになった、といういきさつが語られていた。
曰く、『フランスの価値基準では数学や物理は上位にある』のだそう。
フランスの数学者たち
実際、数学のノーベル賞といわれるフィールズ賞の歴代受賞者を国別で見ると、アメリカに次いでフランスが多い。<情報元:Wikipedia。なお、受賞者が二重国籍の場合は、それぞれの国を1ずつカウント>
ということは、フランスでは数学の水準が高く、フランス語における数字のややこしさは、ハンデにはなっていないということなのだろう。
フランス語の中の数学
一方、数学以前に、数字ダメダメな私が、シッフル対策として重宝している本『フランス語のシッフル(数字)なんてこわくない!(CD付)』の中に、こんな記述があった。
私たちは日常生活において、大概の計算を行うときに10進法を用いることに慣れている。けれども数学においては、数量の表現が必要になって以来、20進法や60進法といった別の記数法が用いられてきたことも知っておくべきである。
La base 60(60という底)は、紀元前2000年頃のカルデア人によって広く用いられていた。彼らは60が非常に多くの数(2, 3, 4, 5, 6, 10, 12, 15, 20, 30)で割り切れるために有用な数であることを見出していたのである。この数は、現代でも時刻を測る単位として利用されている。
なるほど。『数字がややこしくて計算しづらい』というよりは、元々、数学的な概念を言語に含んでいる(上述の70、80に見られるような倍数の混在)から、一見、ややこしいものに仕上がった、という方が正しいのかもしれない。
ハクション大魔王とLa base 20
ちなみに、『数字が苦手』と口にする時、私の頭に浮かんでいるのは、ハクション大魔王が、計算に苦慮して、額に汗を浮かべながら、両手の指を折る光景。
なぜなら、自分自身がそういう状態だからだ。その時点で、数学的概念からは、遠い地平にいるような気がする。
ただ、La base 20の説明を読んで、少しほっとした。
La base 20(20という底)は、人間の形態を起源としている数であり、マヤ人と、もちろん疑いもなく現代フランス人の祖先、すなわちケルト人やノルマン人によって用いられていた。その当時は指(両手の指を合わせて10本、足の指も入れれば20本)が電卓の役割を果たしていたのである!
何か、ハクション大魔王の計算処理に通じるものがあって、親しみを覚える。
ややこしいけど、興味が増してきたので、指を折りながら、マイペースでシッフルの勉強を続けていきたい。
シッフルのバイブル
この本『フランス語のシッフル(数字)なんてこわくない!(CD付)』は、数の基本から、日常生活における数字表現まで体系的にまとまっているので、私のような超初心者から、中・上級者まで、シッフルのバイブルとして役立ちそう。
フランスでの視力の表し方等、『へー!』な項目の他、フランス文化に関するコラムも豊富で、素朴なイラストがかわいい。CD付き。
書籍情報
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