英語で読んだらすごさがわかってきた村上春樹
正直言って、村上春樹作品がちょっと苦手だった。
あくまで個人的な印象だけど、多くの作品に共通する『僕』の一人称、一人称なのに主人公の言動が受け身なところ、受け身なのに妙に全能感に満ちていて、女性蔑視がほの見える感じ、にイラッときてしまう。
ところが、NHKラジオ『英語で読む村上春樹』で何作品か読み込むうちに、感じ方がだいぶ変化してきた。
英語だから『やな感じ』が漂白されるのかな、と当初はひねくれたことを考えていたけど、むしろ英語になってなお『心をざわっとさせる何か』がしっかり存在しているすごさに気が付いた。それっておそらく人類共通のものなんだと思う。
しかもその解釈のしかたは読者にゆだねられていて、いくらでも深読みできてしまう。同じ人間が読んでも、その時々の状況で、受け取り方が変わってきそうだ。
今月の放送は『カンガルー日和』で、一見、ほのぼのとした若いカップルの話だけど、だんだんブラックな裏のある話に思えてきた。
広告