O.Henryとホウ酸ナトリウム
今週のNHKラジオ英会話のEnglish TheaterでO. Henryの『Witches' Loaves』をやっていた。
O. Henryらしい、ラストのどんでん返しが面白い、というか、切なすぎるストーリーだった。
そのストーリーもさることながら、個人的にすごく細かいことが気になってしまった。小さなベーカリーを営むミス・マーサが、週に何度か店にやって来る客を意識して、身なりに気を遣う様子の描写。
In the back room she cooked a mysterious compound of quice seeds and borax. Ever so many people use it for the complexion.
店の奥の部屋では、マルメロの種とホウ酸ナトリウムのまか不思議な化合物を煮立てた。それは実に多くの人が肌のつやのために使っているものである。
<NHKラジオ英会話2016年7月号より>
マルメロ(quince)って、果物? ホウ酸ナトリウムって『ホウ酸ダンゴ』のホウ酸? そんなもの、顔につけて大丈夫なのか?
気になるので調べたところ、まずマルメロ(quince)は、洋ナシのような形をした果物で、
中央アジア原産のバラ科の落葉高木の果樹またはその実を指す。【学名】Cydonia oblonga。よい香りのする実は食用になり、古代からアジア・地中海地域で栽培された。マーマレードはマルメロから最初に作れたとされている。日本語のマルメロはポルトガル語のmarmeloからきたもので、マーマレードの語源ともなっている。なお、カリンに似ているために日本では両者が混同されることがある。<英辞郎 on the WEBより>
ホウ酸ナトリウム(borax)については、化学工業薬品を扱う企業HPの説明が、いちばんわかりやすかった。※boraxの日本語は『ホウ砂』とされていた。
Borax(ボラックス/10水塩ホウ砂 Borax Decahydrate Na2B4O7・10H2O)
ボラックスは天然のホウ酸ナトリウム鉱石を精製したものであり、酸化ホウ素・酸化ナトリウム・結晶水で、良好な緩衝及び融剤特性を持っています。酸化ホウ素の供給源として、特にナトリウムを同時に必要とする工程・用途に適しております。
ボラックスは樹脂の乳化を助ける為のpH緩衝剤や弱い研磨剤として色々なクリーニング製品(ハンドクリーナー、ワックス他)に使われ、洗濯用洗剤ではアルカリ性を付与し軟水化を助け、酵素の安定剤として の機能も持ち合わせています。<株式会社早川商事HP:https://www.hcl.co.jp/japanese/borax.htmlより>
さらに、もっと身近な『ホウ砂』の用途としては、ネットでいろいろ探してみたところ、手作り化粧品の乳化剤として、利用されているようだった。なるほど。これでようやく、ミス・マーサが鍋で煮立てていたものの正体が、なんとなくわかった。
他には、子どもの『スライム』作りによく使われている模様。子どものいる人にとっては案外、身近な素材だったりするんだろうか?
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